これからプログラミングを学ぶ人が最初に取り掛かる言語はだいたい、RubyかPHPだと思います。
その中でもPHPは一部のプログラミング上級者界隈ではオワコンと呼ばれたりしていますが、本当にオワコンなのでしょうか。
結論を言うと、そんなことはありません。
PHPで生き残る道はまだまだあります。
今回は、PHPがオワコンではない理由やPHPで生き残るためのキャリア戦略について解説します!
2022年のPHPの現状
上記のグラフを見ると、PHPは2019年から落ち込み始めています。
これらの結果から、PHPはオワコンになってきていると思われても仕方がないかもしれません。
ただ、このグラフでは分からないこともあります。
- 10言語以外との比較は?(トップ10に入っているだけでもすごいのでは?)
- 日本だけだとどうなのか
- 企業規模だとどうなのか
こういった疑問もまだ残ります。
10言語以外との比較は?
この10言語以外と比べてみると、PHPの立場はどうなのでしょうか?
例えば人気言語であるGoが入っていません。
もしGoが入ってくれば上位になるでしょうし、他の言語はPHPより下になるかもしれません。
10言語で固定して8年間分析してきたので、全言語を対象とした調査ではないことに注意が必要です。
日本だけだとどうなのか
多くの人は日本で働きます。シリコンバレーではPythonやGoが流行っていたとしても、日本ではPHPがまだまだ使われているケースがあります。
最先端の情報が日本語で入ってこなかったり、新しい技術に変えていくような企業文化が無いなどの理由がありますが、世界基準と日本基準ではギャップがあります。
この調査結果はグローバルを対象としているので、もし日本だけの調査があれば結果は変わってくるかもしれません。
日本の求人を見てみると、人気言語のPythonやGoはまだ多くありません。
RubyやPHPの方が多いように感じます。
企業規模だとどうなのか
Javaも古い言語と言われていますが、それでも上位にランクインしています。
考えられる理由は、大企業で使われる言語だからです。
開発者が1000人いる企業でJavaが採用されていれば、割合は一気に増えます。
一方、スタートアップ企業で使われることの多いRubyは、5人の企業で採用されたとしても、Javaの200分の1の割合にしかなりません。
この調査では、Githubの利用言語数でランキングを出しているので、利用企業数にするとランキングは変わるかもしれません。
PHPがオワコンではない理由
現場で働いていると、PHPはまだまだ使われています。
世界的に見ると落ち目だと言われている言語ですし、プログラミング言語ランキングも年々下がっていますが、日本でプログラマーをやるなら全く問題ありません。
- 多くの案件で使われている
- 初心者に優しい言語として生き残り続ける
- バージョンアップで使いやすくなっている
- WordPressで使われている
- フレームワークが使いやすい
多くの案件で使われている
転職サイトで、言語をPHPに絞ってみてください。
おそらく数百〜数千件が出てくるはずです。
上記はIT向け転職サイト「GREEN」で「PHP」で検索した結果です。
5000以上の求人数があり、これだけ案件があれば、仕事がなくて困るということはまずありません。
PHPは一般的なWebアプリケーション開発だけでなく、ホームページ作成やゲーム開発でも使われているので、単なる案件数だけでなく、幅広い業界、ポジションで求人があります。
初心者に優しい言語として生き残り続ける
PHPは簡単な言語と言われているので、初心者が最初に学ぶ言語としても生き残り続けるはずです。
今流行っているGoとかTypescriptなんかは初心者には難しいかなと思います。
上記は有名なプログラミングスクール「codecamp」のカリキュラムです。
PHPが学習内容に含まれていることがお分かりいただけるでしょう。
codecampでは、PHPかRuby(もしくはJava)を学ぶコースが用意されています。
多くのプログラミング学習サービスでは、RubyかPHPが選択されているので、仮に現場でPHPが使われなくなったとしても、初心者向けの勉強用言語としては残るのではないかと思っています。
バージョンアップで使いやすくなっている
PHPのバージョンが8に上がり、今までの欠点と言われていた箇所とを修正しつつあります。
従来のphp5系とは全く違う言語ではないかと思われるほど、使いやすくなっています。
オワコンにならないよう、日々のバージョンアップで使いやすくなっているので、これからまた人気が復活することもあるでしょう。
WordPressで使われている
ホームページ作成やブログに最もよく使われているWordpressというシステムはPHPで作られています。
なので、WordpressのソースコードをいじるときはPHPの知識が必須になります。
他にも、古くからあるWebサイトやWebシステムにはPHPが使われていることが多くあるので、改修案件やリニューアル案件、保守や運用案件などでもPHPは活躍するはずです。
フレームワークが使いやすい
PHPでWebアプリケーションを作る場合、フレームワークが使われることが多いです。
フレームワークとは、言語を使いやすくするためのシステムで、PHPの場合はLaravelというフレームワークが代表的です。
LaravelはPHPのバージョンアップに合わせてアップデートされており、どんどん多機能かつ使いやすくなっています。
コマンドを一つ叩くだけで、Dockerコンテナを作成して、シンプルなWebアプリケーションができあがってしまいます。
初心者にとっては、インフラを意識せずにプログラミングを始められるので、PHP+Laravelの組み合わせは最初の学びに最適です。
最終的にはインフラの仕組みも覚えるべきですが、いきなりインフラでつまづくくらいなら、インフラのことが分からないままでもPHP開発に取り組む方が効率的です。
RubyとPHPで生き残るためのキャリア戦略
RubyとPHPがオワコンじゃないからと言って、何もしないでいると、時代に取り残されてしまいます。
それぞれの言語にあったキャリア戦略を取ることで、オワコンとは言われないキャリアを築くことができるようになります。
- 大企業で働く
- 自分でサイトを作る
- 深くまで極めていく
- 高度な言語の踏み台にする
大企業で働く
大企業で使われている技術は古く、新しい技術に変わるのに時間がかかります。なのでPHPを古くから使い続けている企業も結構たくさんあります。
これは決して良いことではありませんが、PHPにずっとしがみつくというキャリア選択をするなら、検討の余地はあります。
新しい技術も触りたいという人にはおすすめできませんが、PHPを使っている大企業が結構多いので、PHPエンジニアは大企業をターゲットにして仕事を探せば、生き残ることができるはずです。
古いシステムになると、PHP5系やLaravel以外のフレームワーク(CakePHPなど)を使っていることもあり、最近のPHPの便利さが使えないことがあります。
せめてPHP7系以上でLaravelを使っている企業の方が開発しやすいと感じます。
自分でサイトを作る
自分でサイトを作れば、どんな言語でも使えます。仕事がなければ、作ってしまえばいいのです。
注意点として、あまりにマイナーな言語を選んでしまうと、人を雇ったり、手伝ってもらいたいときに扱える人がいなくなってしまいます。
PHPなら一定数、エンジニアがいるので問題ないでしょう。
- 個人ブログを作りたい
- 自分のホームページを作りたい
- ECサイトを作りたい
- Webアプリケーションを作りたい
- スマホアプリを作りたい
PHPは上記のどのようなニーズにも対応しています。特にWordpressであればプログラミングをせずにブログやホームページ、ECサイトも作れるので、PHPはエンジニアではない人からのニーズもあります。
深くまで極めていく
1つの言語を深く極めていくことで、開発の仕事だけでなく、出版の仕事やセミナーへの登壇なども依頼されるかもしれません。
PHPがバージョンアップされるたびに深くドキュメントを読み込んで、ブログなどで発信してみましょう。仕事の依頼が来るかもしれません。
高度な言語の踏み台にする
多くの人がやっているのが、最初はPHPでプログラミングの基礎を学び、徐々に高度な言語に切り替えていくというキャリアです。
PHPがかわいそうな気もしますが、初心者向けの簡単な言語代表であるがゆえに、ベテランエンジニアになってくると物足りないと感じてしまう言語でもあります。
PHPエンジニアは収入がそこまで高くないので、より収入が高い言語にシフトする人が増えるのは仕方がありません。
未経験のこれからエンジニアになりたい人に対して門戸を開くのがPHPの役割だと言えます。
PHPを学習する方法
まずはプログラミング学習サービスを使って学んでみましょう。無料で試せるものもあるので、プログラミングに対しての適正やPHPの使いやすさを実感してみることをおすすめします。
- プログラミング学習サービスを使う
- 技術系サイトで学ぶ
- 書籍で学ぶ
- プログラミングスクールに通う
- 実践で習得する
プログラミング学習サービスを使う
おすすめのプログラミング学習サービスは以下の通り。
- Progate
- ドットインストール
最初は無料で学ぶことができるので、まずはProgateのPHP学習コースなどを通して、PHPの基礎を学んでみましょう。
Laravelコースもあるので、もう一歩踏み込んで学習したいかたはこちらもおすすめです。
ドットインストールはインフラ構築の知識も必要になることがありますが、インフラも少しは勉強しておいたほうがいいので、Progateを一通りやったあとは、ドットインストールをやってみましょう。
技術系サイトで学ぶ
プログラミング学習サービスで一通り学んだ後は、ちょっと難易度を上げてみましょう。
以下の技術系サイトでもう少し深くまで学ぶことができます。
- Qiita
- Paiza
Qiitaは技術系掲示板サービスなので、自分で「PHP チュートリアル」など検索してみましょう。
分からないことがあったときもQiitaで検索してみることで、解決することがあります。
注意点として、Qiitaにある情報は一般のエンジニアが書いている記事なので、公式情報ではありません。バージョンや環境の違いによって、記事の内容と動作が異なる場合があるので、信用しすぎずに利用しましょう。
Paizaは転職サービスですが、各言語の実力テストがあり、その判定によって受けられる企業が変わるという面白いシステムが用意されています。
転職をしない人でも実力テストを受けてみる価値はあります。結構難しいですし、時間制限もあるので、プログラミングのロジックやメソッドの使い方などが頭に入っていないとクリアできません。
書籍で学ぶ
書籍を使わずに学ぶ方もいますが、なんだかんだで書籍が最も体系的にまとまっていて理解しやすいと思います。
書籍を作るために多くの人が関わり、入念に企画されているからです。
書籍を選ぶときは、実践的な内容やチュートリアルが含まれているものを選びましょう。
言語の情報だけが書いてある辞書っぽい本だと読み飽きてしまいますし、理解度を試す場が無いので、おすすめしません。
プログラミングスクールに通う
短期間で習得したいならプログラミングスクールもおすすめです。
プログラミングは一人で学ぶものですが、仕事などで疲れている日にやる気にならない人も多いと思います。
スクールにお金を払ってしまえば、期限内にやらないといけない気持ちになります。
わからない点は講師がしっかり教えてくれるので、習得スピードも独学より早くなりますし、就職先を提案してくれたり、キャリア相談にのってくれるなど、エンジニアになるための道のりに迷っている方におすすめできます。
実践で習得する
一番良いのは、エンジニアとして現場に出て、実践の中で習得することです。
プロのエンジニアに囲まれて仕事ができるわけですし、作っているシステムも本物ですから緊張感や責任感があります。
ゼロから立ち上げる経験や、他の部署の人たちと協調しながらプロジェクトを進めていく経験など、プログラミング以外にも様々なことが学べます。
一人で学ぶ期間はなるべく早く終えて、早いうちから就職活動に進むことをおすすめします。
PHPを学ぶべき人
PHPは自由度が高く、歴史があるので大企業でも使われています。
ブログやWeb制作系に興味がある人
WordPressと言われるブログを作るためのライブラリはPHPで作られています。
その影響もあり、ほとんどのWebサイトはPHPで作られているので、Web制作系の仕事をしたい人はPHP一択でしょう。
加えて、フロントエンドやデザインの勉強も必要になってきます。
自分でサイトを作っていきたい人
個人開発をしたい人は、PHPがおすすめです。
Rubyより自由度が高く、ほとんどのレンタルサーバがPHPに対応しているので、自分のアイデアを形にしやすいはずです。
※Rubyはレンサバに乗っけられないことがあるので、AWSやHerokuを使うことになります。
メディアっぽいサイトやブログを作りたいなら、レンタルサーバが提供しているWordpress作成サービスで、プログラミングをせずにWordpressを使うこともできます。
今流行りの言語とは?
ここまでRubyとPHPについて書いてきましたが、世界的に見ると右肩下がりなのは否めないです。
逆に、右肩上がりで人気が出ている言語についても触れておきます。
世界中で人気のPython
ここ数年で最も人気のある言語がPythonです。
理由は、機械学習に向いているからで、AIサービスを作るならPythonを選択されることが多くなっています。
Pythonは歴史のある言語なのですが、ここ数年で再注目され始めているので、RubyやPHPもいつの日か人気が復活する日が来るのかもしれません。
マイクロサービスならGo
1つのプロジェクトを小さく作り、それらをつなぎ合わせるスタイルのマイクロサービスという開発に使われるのがGoです。
Goは実行プログラムが軽く、無駄なものを削ぎ落としたような言語です。
コンテナサービスのDockerもGoが使われており、やはりマイクロサービスとの親和性が高いと言えます。
マイクロサービスを使っているのは、最先端かつ規模の大きな企業であるため、Goを習得すると収入や単価が上がりやすくなります。
そこまで難しい言語ではないので、RubyやPHPを一通り学んだ後はGoを習得するエンジニアが多くなっています。
Javascript周りのスキルも必要になってくる
フロントエンドの言語であるJavascriptは、全エンジニアの必修科目です。
TypescriptやVue.js、Reactは、Javascriptを使いやすくするための言語です。
Webサービスを作るならフロントページは基本的にあるでしょうし、サーバサイドしかやらないエンジニアでもJavascriptを触る機会は訪れるはずです。
RubyやPHPを学ぶ段階でJavascriptも絶対に学ぶことになるので、わざわざJavascriptを学ぼうとしなくても勝手に習得していけますが、TypescriptやReactなどは勉強しておくと良いかもしれません。
また、Javascriptで作られているサーバサイド言語のNode.jsは、あまり使われている現場を見ないので、仕事で必要になるまでは学ぶ必要は無いと思います。
まとめ: PHPはオワコンじゃない
PHPは、まだまだ使える言語です。
今からプログラミングを学びたい方は、PHPを学ぶことをおすすめします。
まだまだ使われている
インターネット上ではオワコンと言われることが多いPHPですが、それは上級者エンジニアの意見かもしれません。
多くの現場ではまだまだ使われていますし、これからもしばらくは使われ続けるでしょう。
適切なキャリア戦略を取っていけば、PHPエンジニアがオワコンにはなりません。
キャリア戦略次第で生き残る道はある
会社に属して仕事をもらうというスタイルだけが、エンジニアとして生き残る道ではありません。
狙う企業を絞ったり、自分でサービスを作るなどのキャリア戦略も考えてみましょう。
初心者はPHPを学ぶべき
初心者は挫折しないことが大事です。
PHPは簡単で、挫折しにくい言語ですので、いきなり難しい言語にチャレンジせず、まずはPHPを学びましょう。
今流行りの言語も注目しておこう
PythonやGo、Javascriptを紹介しました。
エンジニアとして一人前になってきたら、流行りの言語にも注目して、使ってみるのも良いでしょう。